<男子ゴルフ:VanaH杯KBCオーガスタ>◇初日◇26日◇福岡・芥屋GC(7146ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 石川遼(18=パナソニック)が今季初日最少スコアの67で回り、首位と4打差7位と好発進した。先週の関西オープンを欠場しリフレッシュしたことで「観客を魅了する」という初心を思い出し、6バーディーを量産。ショット、パットともに打つ前の手順を修正し、本来の思い切りの良さも復活。優勝した5月中日クラウンズ以外の国内8試合で10位内がなかった今季の不振克服へ、上昇ムードが漂ってきた。

 久しぶりに、初日から心地よい汗が額を流れた。「いいスタートが切れたんじゃないかな」。今季初日最少スコアの67で7位。6月日本ツアー選手権以来の1ケタ順位発進に、石川の顔がほぐれた。

 今年は中日クラウンズで1勝こそしたものの、他の国内8試合は10位以下。大勢の観客に満足いくゴルフを見せられず「申し訳ない」と悔しさが募った。先週の関西オープンは欠場。トレーニングで体を鍛え、静岡方面への家族旅行で心をいやし、自分を見つめ直した。「プロはあくまでも見られる立場。魅せるプレーをしないと」。“プロゴルファー石川遼”の原点に戻り、今大会に臨んでいた。

 前半12番パー3では、3メートルのバーディーパットを強気に向こう縁に当ててねじ込んだ。後半4番では300ヤードを超えるビッグドライブを生かし、3メートルを決めた。早速、魅せるゴルフを披露し「9番以外のパー5ではバーディーを取れたし充実していた」と納得した。

 本来の思い切りの良さも復活した。4月からショットの前に1度、クラブを大きく動かす予行演習(ワッグル)を取り入れてきたが、この日は封印。構えたらすぐにスイングを始動した。パットは、ライン後方で1度素振りして、構えたら素振りせずにストロークする手順を実行。打ち出す方向だけを強く意識し、6バーディーを量産した。

 この日、福岡の最高気温は35・9度まで上昇。石川は珍しくラウンド中にキュウリを食べた。「キュウリやトマトは体を冷やす作用がある。必要以上に体温を上げないように食べました。おいしかったですよ」と、暑さ対策も万全だ。

 初日から上位に入り、そのまま優勝争いする理想の展開へ、第1関門をクリアした。現在賞金ランク7位だが、優勝すれば一気に1位に浮上する可能性もある。「久しぶりの初日上位で、すごくドキドキワクワクしてます。でも、単独トップじゃないし明日からも伸ばし続けたい」。気を抜くことなく、攻め続ける。【木村有三】